壁紙といいえば、サンゲツやルノンなどのメーカーが作っているビニールクロスが一般的ですが、自然素材を原料として使ったクロスもあります。それぞれに異なる特性を持ってますので、ご紹介させていただきたいと思います。
①ビニールクロスの特長
塩化ビニール製でのすで、汚れが染み込みづらくお掃除もし易いです。塗壁と違って、貼替えることも可能です。
メリットとしては施工性が良く、安価でデザインのバリエーションも豊富で、一般的に多く用いられています。水拭きできるので、比較的、お手入れも容易にできます。
デメリットとしては、調湿性、通気性には乏しく、独特の臭いがあるため、快適性にかけます。また、黄ばみや剥がれにより、10~15年くらいで張替を検討するケースが多く、劣化時の見た目もあまりよくないです。
②自然素材クロスの特長
文字通り主に自然素材を原料とした壁紙です。シラス(火山灰)、紙、和紙、卵の殻などを原料として使用したものがあり、それぞれで微妙に特徴が異なります。
メリットとしては、体にも、環境にもやさしく、独特の嫌な臭いがしない ので、非常に快適性の高い空間になります。調湿性や消臭効果もあるので、生活臭が気になりません。また、自然素材ならではの風合いも楽しめます。
デメリットとしては、ビニールクロスに比べるとコストが高くなります。汚れがつきやすいので、水廻りには不向きです。ビニールクロスよりも伸縮しやすいため、ロスの継ぎ目部分が徐々に目立ってきます。
③自然素材クロスの種類
・シラス(火山灰)クロス
表層材に消臭性能を持つ自然素材・シラスを使用しており、このシラス粒子は、ガスを吸着する力が強く、吸い込んだニオイ成分を再放出しないのが特徴です。タバコ、ペットなどのニオイや、生活臭を消す効果が見込めます。またホルムアルデヒドをはじめとする化学物質にも有効なため、シックハウス対策にもなります。
粒子が細かいため、見た目は一見して通常のクロスのように見えます。カラーバリエンションはベージュとホワイトの2色のみです。
・エコフリース
パルプ等の自然素材を主原料とし、強化のためにポリエステルを加えた壁紙用のフリース(不織布)に工場塗装を施したものです。通気性・透湿性が高く、結露やカビの発生を抑えます。塗装により着色しているので、模様替えの際には上から再塗装することができるので、張替えの必要がありません。
・和紙
文字通り、和紙をそのまま壁紙として使用するものです。和紙は植物の勒皮繊維(表皮のすぐ内側にある柔らかい内皮)を主原料とします。昔からの代表的なものは楮、三椏、雁皮。 最近ではケナフも使用されています。
木質原料としているため、調湿・調光・保湿・吸音のすぐれた特性を持っています。見た目にも和紙ならではの風合いがあります。
ただ、伸縮が大きいため、ジョイント部分は重ね貼りになります。
・エッグウォール
卵の殻を原料とした壁紙で、マヨネーズなどの卵食品の製造過程から排出される卵殻をリユースして製造されており、非常に環境にやさしい壁紙です。卵の殻は成分の94%が炭酸カルシウムで出来ており、非常に多孔質です。この穴を通して生活臭などの臭いを吸収したり、余分な湿気を吸収してくれます。
以上です。それぞれの材料にメリット、デメリットは存在します。材料選定の際には是非ご一考ください。
設計 幸 康史
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