先日、社内研修で関西の建築巡りをしてきました!
私は奈良にある「薬師寺」について、文献なども参考にしながら、感じたことや学んだことをお伝えしたいと思います。
薬師寺。おそらく歴史の授業で一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
白鳳時代、天武天皇が妻である皇后(後の持統天皇)の病気平癒を祈り、人々を病から救う薬師如来をご本尊として建立を発願したと言われています。
天武天皇は薬師寺の完成を待たずに崩御しましたが、病が癒え意思を継いだ皇后によって、西暦698年に完成しました。
中央に本尊を祀る金堂と、東西に2基の塔で構成される伽藍配置は、薬師寺が日本で初めてだそうです。
南門から入ると、まずは大きな仁天王像がおさめられている中門が現れます。

表情と体つき、、迫力がありました、!
柱中央にふくらみのあるエンタシスの柱となっていますが、法隆寺に比べるとふくらみが少なく細くみえます。
この柱は、昭和の中門再建の際、創建当初から唯一残る東塔(国宝)の柱をまねして設計されたそうです。
中門を抜けると、視界中央に金堂、左右に塔が現れます。
右側に創建当初から約1300年その姿を残している東塔、左側に昭和に再建された西塔がそびえています。
あまり知識のない状態で見に行ってしまったので、第一印象はそれぞれの塔で色が違うということでした。

東塔

西塔
東塔は、平成21年から12年の時間をかけて全面解体大修理が行われています。
文化財の保存を目的とした大修理では、可能な限り解体前の部材を再利用するため、東塔を組み立てていた約1万3000点の部材のうち、約9000点は補修・再加工の必要がなくそのまま使い、約1500点は新しい材に取り換え、腐食や虫害で細かな穴がいくつもある部材は、穴を丁寧に削ったうえで新たな材をピタリとはめ込み蘇えらせたそうです。
半分以上の部材がそのまま使える状態であったことに木の力強さを感じるとともに、木のくせを見抜き、部材一つひとつと向き合いつくりあげた当時の大工さんの腕があったからこそ、1300年もの間荷重や災害に耐え建ち続けたのだと思いました。
一方西塔は、東塔の調査や創建当初の資料をもとに再建されているため、東塔よりも創建当初の姿に近いのではと言われています。
東塔は7年前の大修理が行われるまでにも、幾度か修繕が行われており、地震や雨風で傷んだり歪んだりしたものをその度にその時代のやり方で直しているためです。
分かりやすいところで言うと、東塔は白壁であるのに対し、西塔は緑色の連子格子がはまっています。
大修理よりも前に東塔をX線で調べたところ、白壁のところに連子格子の痕跡があることが分かったそう。これまでの修繕の際に、連子格子では弱いから壁でつっぱっておこうとなったのではと考えられています。
建物を壊さなくてもそのような情報が分かってしまう、現在の技術は凄いですね。
東塔はすっかりはげて木材そのものの色が出ていますが、もともとは西塔のように色鮮やかであったようです。

一見六重の塔に見える東塔ですが、実は三重の塔です!
下から1番目3番目5番目は裳階(もこし)と言って、初重(2番目)、二重(4番目)、三重(6番目)の壁面を守る雨風よけの役割と、それぞれの塔をしっかりと固める構造的な役割をしています。
写真でも分かるように裳階の屋根が少し小さく、塔の屋根が大きい、大小大小のリズムがあります。
この美しさが人々に旋律を連想させ、「凍れる音楽」として称えられてきました。

金堂の裏から見た東塔
ずっしりと立派な印象を受けた法隆寺の五重塔とは少し違い、この東塔はやさしく美しいという言葉が合うような気がしました。
高く重なる塔を裳階を採用することで、構造的にも支えながらここまで美しく見せている。飾りではないことを知るとより美しく見えます。
構造をも美しく、なかなか難しいことですが、そういう風に考えると構造的に無理のないシンプルで美しい建物をつくる上でのヒントになるのでは!と思いました。
(このBLOGを書くにあたって、「木に学べ 法隆寺・薬師寺の美 / 西岡 常一」、「新プロジェクトX③ -薬師寺東塔 大修理- / NHK「新プロジェクトX 」制作班」の二つの文献を読み参考にさせていただいたのですが、東塔の一番上に乗っかっている水煙の新調、塔の心柱の修繕についても詳しく記されており、その大変さと真摯に向き合う姿勢に衝撃を受けました。1300年守り継がれてきた祈りの塔を次の時代へと繋ぐ人達の思いも知ることができ、とても面白かったです。この本を読んで行けば良かった!と少し後悔しました(笑) )
次に向かったのは、伽藍の中心にどんっと構えている金堂です。

中には国宝である薬師三尊像が祀られています。金堂は1971年に5年の歳月をかけて再建されました。
白鳳時代の建築様式の研究を踏まえ、高さや軒の出などは東塔を参考に塔との調和も考慮しながら設計されたそうです。
本尊さまを守るため、内部はRC造の耐火構造でつくられ、コンクリートの箱を木で囲んでいるようなつくりとなっています。
よく見ると防火シャッターが設けられていることが分かります。
柱には台湾から持ってきた樹齢数千年のヒノキを使っており、柱表面は槍鉋(やりがんな)という道具で仕上げられています。機械ではなく手で削ることで木の繊維を潰さず、カビが生えにくく腐りにくいのだそう。
触ってみると、機械では出せない手仕事の力強さが感じられました。機械のない創建当初にこのような大きな建物が人の手によって建てられたことが本当に想像できません。
薬師寺をはじめ歴史ある社寺建築に触れることで、建築について深く考える良い機会となりました。
新築を建てるということは、その土地の風景を少し変えることでもあり、建てて終わりではない責任ある仕事なのだということを心に置いて、今後も精進して参ります!

紅梁の曲線が美しい回廊
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姫野 有紀
皆様の指導のもと、プランや図面の作成をしています。
そこにある暮らしを想像しながら、長く住み継がれる家づくりをしたいと思います。
よろしくお願いいたします❁
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