最近は戸建て住宅だけでなく、コンクリート造のマンションのリノベーションの依頼も増えてきてます。マンションの場合、排水管の位置や窓の大きさや位置が決まっているため、これらをうまく利用しながらプランを検討しなければなりません。本日はそんなマンションのリノベーションの事例についてご紹介させて頂きたいと思います。
①物件の現状と問題点
◇物件概要
・鉄筋コンクリート造5階建て、全16世帯
・1世帯当たりの面積:約40㎡
・対象物件:最上階の角部屋
◇現状の問題点
・共同の大浴場はあるが、住戸内に浴室がない。
・洗濯機置場が屋外バルコニー
・キッチンやトイレの水回りが古く、使いづらい。
・洗面コーナーが無い。
・玄関が狭い。
・内装仕上げがかなり傷んでいる。
②プランの検討
予算が限られていた事もあり、断熱改修は行わず、生活する上で重要となる水回りの改善に注力、更に無垢の杉板フローリングや左官塗壁を採用することで暖かみのある空間にすることを目指しました。
◇プランのポイント
・間仕切壁の位置を変更して、広いダイニングキッチンを確保。
・玄関土間を拡張し、ダイニングキッチンと一体化。
・洗面脱衣室を設けて、シャワーユニットバスと洗面器を設置。
・火山灰を原料とした「薩摩中霧島壁」と無垢の杉板フローリングを採用し、内装仕上げを一新
④マンションならではの課題、配管スペースの確保
大きな間取りの変更、特に水回りのレイアウト変更の際に問題になるのが給排水の設備配管です。マンションの場合、どうしても床下スペースが少ないため配管の位置を大幅に変更することが難しいです。今回の場合は造作キッチンの下に配管スペースを設け、更にシャワーユニットバスや洗面台、洗濯機を設置するスペースは床の高さを上げることによって配管スペースを確保しました。
⑤エピローグ、こんなふうに仕上がりました!
〈玄関〉
玄関の土間を拡張し、壁は薩摩中霧島壁塗り仕上げとしました。土間は墨モルタル塗りにし、落ち着いた雰囲気にしております。
〈ダイニングキッチン〉
キッチン本体は造作家具にて製作しております。床は杉の無垢板フローリング貼りです。
シンク台については多目的に使用できるようにダイニングテーブルとシンクを一体的にステンレスで製作しました。
〈洗面・脱衣室〉
既存の出窓スペースを活用して、コンパクトな洗面台カウンターを設けました。化粧鏡についてはホテル等で使用されているアーム式の化粧鏡を設けて、既存の窓はそのまま残しております。また、洗濯機置場については元々は畳半分程の押入空間を活用しております。排水トラップを設置する必要があったため、こちらについても床の高さを高くしております。
〈シャワーユニットバス〉
洗面脱衣室と隣接して、シャワーユニットバスを設けました。配管スペースを確保するために、床の高さをダイニングキッチンより16cm高くしております。
〈和室〉
大きな間取りの変更はしておりませんが、畳の表替えをし、壁と天井を塗装仕上げで一新しました。断熱改修は予算上行っていませんが、窓に断熱効果のあるSEIKIの『ハニカムサーモスクリーン』を採用しております。輻射してくる冷気はかなりこれだけでも軽減される印象があります。
〈古材テーブル〉
以前、お寺の改修工事の際に廃棄されることになった扉に綺麗にミツロウワックスを塗り、木製の脚を取付けました。天板にはトーメイガラスを置いているだけです。非常に味わいがありいい感じのテーブルになりました。
⑤最後に
マンションリノベの場合、「水回りのレイアウトは基本的には変更できない」と思われがちですが造作家具や床の高低差を活用することで、理想の間取りに近づけることは可能です。マンションリノベをご検討されている方は是非ご一考ください。
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設計 幸 康史
YUKi-NOiEの設計を担当しています。お客様のご希望はもちろん、建物の建つ敷地の特性を活かした住まいづくりを心がけております。
趣味はマラソン、自己ベストは2時間52分42秒です。
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